前回、vol.71　荻窪団地・中篇～スターハウス の続き。

2011年4月、花見の季節には桜舞い散る中で団地鑑賞が出来た。

家族棟の並ぶ脇の歩道には桜並木が整備されていた。

桜の枝がしだれかかり、見上げると桜越しに団地を拝められた。

この頃には立ち退きがかなり進んでおり、庭越しに無人となった部屋を望むと、桜と家族棟の姿が窓に反射していた。

スターハウスも桜と鑑賞できた。

立入禁止のフェンスのようなものが窺えるが、先の家族棟脇にも一部、同じオレンジのフェンスが設置されていた。

本格的に取り壊しの日が近づいてるということだろうか。

家族棟の階段入口部分には粗大ゴミとなった家具が出されていた。

同年11月、いよいよＸデーが近づいたという報を耳にして来てみると、団地には工事用の防壁が張り巡らされていた。

取り壊しは、この家族棟から着手されるようだ。

家族棟にも防壁が。

見上げるとその姿はこれまでと変わらないのに、フェンス越しというだけでこれまでより距離を感じる気がする。

単身棟の南側だけ、いち早くシャレール荻窪として再開発がされたが、このフェンスの内側も数年後にはこのような姿になるのだろう。

取り壊し後、なかなか単身棟跡地の計画が進まなかったが、特別養護老人ホームが今年11月に完成するようだ【社会福祉法人櫻灯会杉並事務所】。

荻窪団地は、単身棟にスターハウス、そして典型的な家族棟と、公団住宅のバリエーションを一箇所にギュッと凝縮して見渡せる場所だった。
最後に、防壁に往時の案内図が残されていたので、それを載せて終わりとしよう。



（了）