ご無沙汰してしまい申し訳ない!
春に拙ミニコミの手製本の新刊なんぞを作っていたのだが、今回はその告知も兼ねてチョット内容を紹介させてもらいたい。
デウスエクスマキな食堂14年春特別号
『パトめし!vol.1』 40P ¥500+税
※一部書店に委託&5/31まで通販受付中↓
【内容詳細&通販ページはコチラ】
その新刊ミニコミ、四半世紀も前のアニメ映画をネタに路上観察したので、こちらでも紹介させてもらおうと思った次第。
「なんだ、アニメか。どっか旅行でもしていつもの街ネタで一冊作れよ!」と怒られそうだが、ところがどっこい、当ブログ的にも無視できない、嘗て現存した貴重な建造物、といっても歴史的に記録されるものではなく庶民建築といった町のちょっとした風景が細密に描写されてるのだ。
分かりやすい所で言えば、江戸東京たてもの園に移築された万世橋派出所が万世橋にある姿で描写されてるとか。勿論バックは交通博物館時代の旧万世橋駅ですよ。
まぁそれらは次巻vol.2で扱うとして、まずはOUT NOW!のvol.1から、渋いにも程があるただの街角の交差点のワンカットと、本に掲載しきれなかった周辺の物件を紹介がてらUPしてみたい。
まずこれが現在の根岸三丁目の五叉路。
左のブティックホリエという洋品店は嘗てこのようなエンジのトタンで覆われておらず、右のマンションになる前のお菓子屋と棟続きの木造家屋だった。
その頃の様子が劇中に1カット出てくるのだが、映画が公開された89年の約2年後の91年に訪れたところ、ホリエは既にエンジのトタンに変わっていたが、マンションのあった場所にはお菓子屋が残っていた。
通りに面した部分だけ銅板で覆って装飾を施してちょっと立派な感じに見せている。
当ブログでも頻繁に紹介している、躯体は木造家屋という典型的な看板建築【当ブログ看板建築カテゴリ】。経年変化し青緑色の銅の葺き具合が絶妙なのもスバラシイが、2F頭頂部に幾何学的なノコギリ刃のような細かいパターンが縁に沿って施されていたり、横長の緩い傾斜の山型という形状も意外と特殊で興味深い。
3F建てに見えるが恐らく2F建てだったと思うが、この辺も看板建築の特徴がよく現れている。
こうした看板建築は関東大震災の復興に伴って建てられた民家の多くに共通した建築スタイルなのだが、周辺にも未だ結構残っている。ということはこの辺りは大戦中の空襲を免れたことになるが、GHQが接収するような建造物や破壊してはいけないようなものが近くにあるように思われないからたまたまなのか、なんだか不思議でならない。
ホリエから交差点を挟んだ向かいにある看板建築。
看板部分がモルタルでやたらゴシック調の重厚な雰囲気ながら、4軒入る内の右の1軒部分だけ小豆色とツートンカラーになっているのが面白い。なにか揉め事でもあったのだろうか。
色が薄い側から見るとまた印象が異なってくる。
一本入った路地側もモルタルで覆われているが、少しだけピョコンと躯体の灰色のトタンが見えている。ここだけ妙に生活感が漂うのが看板建築らしい。
この通りを挟んだ向かいの1軒の食堂。
やけに奥行きのない建物と思いきや、トタン部分が通りに少し出ているだけで、奥行きはフツーにある住居兼商店建築のようだ。とても味のある食堂で、是非訪問してみたいが、営業しているのだろうか。今度調べてみよう。
商店街共通のデザインか、看板も鶯谷だからかウグイスがあしらわれておりシャレている。
さらにこの通りには、嘗ては歯科と棟続きだったのだろうか、戸袋の銅葺きの青緑色がシッカリ濃く残っている造りの良さそうな木造家屋がなんだか不思議なバランスで建っている。
よく見ると、右側に真新しいレンガ造りの薄い壁のようなものがくっついている。この壁の左、つまり表側が、L字に道路を曲がった先の正面の看板建築部分で、要するに建物の右サイドからみた写真となっている。家のケツと歯科の右わき腹が接近してるわけか。
再びホリエの交差点に戻り、ホリエをちょっと引いたところから見る。
隣に三角スペースに当てはめたような、複雑な形状の煎餅屋が目につく。
左のグレーのモルタルで通り沿いが覆われた部分と煎餅屋はそもそも同じ1軒の家で、入口を2つ設けて別々に機能させていると思いきや、裏に回ってみると、どうも2棟別々のようだ。
左が煎餅屋。木部が経年変化で黒くなってカッコイイが、いかにも取ってつけたようなグレーのトタンをみるに、この駐車場部分にもつながっていた家があったと思われる。
で、さらにこの駐車場の奥、煎餅屋脇の細い路地を入った所に、かなり侘び寂びの効いた喫茶店らしき物件があるが、どうも営業しているかもしれない雰囲気があった。
こちらも今度開いてそうな時間に赴いてみたい。特製カレーが気になりすぎる!
ここからさらに路地を進むと、あの長屋に。。。
ということで今回はここまで。本著ではもっと映画に則したことを書いているが、ここでは周囲の建築の紹介に留めた。興味ある方はぜひお手にとって貰いたい。またこの先の路地の物件の未掲載写真も折を見て当ブログにUPしていきたい。
【了】
春に拙ミニコミの手製本の新刊なんぞを作っていたのだが、今回はその告知も兼ねてチョット内容を紹介させてもらいたい。
デウスエクスマキな食堂14年春特別号
『パトめし!vol.1』 40P ¥500+税
※一部書店に委託&5/31まで通販受付中↓
【内容詳細&通販ページはコチラ】
その新刊ミニコミ、四半世紀も前のアニメ映画をネタに路上観察したので、こちらでも紹介させてもらおうと思った次第。
「なんだ、アニメか。どっか旅行でもしていつもの街ネタで一冊作れよ!」と怒られそうだが、ところがどっこい、当ブログ的にも無視できない、嘗て現存した貴重な建造物、といっても歴史的に記録されるものではなく庶民建築といった町のちょっとした風景が細密に描写されてるのだ。
分かりやすい所で言えば、江戸東京たてもの園に移築された万世橋派出所が万世橋にある姿で描写されてるとか。勿論バックは交通博物館時代の旧万世橋駅ですよ。
まぁそれらは次巻vol.2で扱うとして、まずはOUT NOW!のvol.1から、渋いにも程があるただの街角の交差点のワンカットと、本に掲載しきれなかった周辺の物件を紹介がてらUPしてみたい。
まずこれが現在の根岸三丁目の五叉路。
左のブティックホリエという洋品店は嘗てこのようなエンジのトタンで覆われておらず、右のマンションになる前のお菓子屋と棟続きの木造家屋だった。
その頃の様子が劇中に1カット出てくるのだが、映画が公開された89年の約2年後の91年に訪れたところ、ホリエは既にエンジのトタンに変わっていたが、マンションのあった場所にはお菓子屋が残っていた。
通りに面した部分だけ銅板で覆って装飾を施してちょっと立派な感じに見せている。
当ブログでも頻繁に紹介している、躯体は木造家屋という典型的な看板建築【当ブログ看板建築カテゴリ】。経年変化し青緑色の銅の葺き具合が絶妙なのもスバラシイが、2F頭頂部に幾何学的なノコギリ刃のような細かいパターンが縁に沿って施されていたり、横長の緩い傾斜の山型という形状も意外と特殊で興味深い。
3F建てに見えるが恐らく2F建てだったと思うが、この辺も看板建築の特徴がよく現れている。
こうした看板建築は関東大震災の復興に伴って建てられた民家の多くに共通した建築スタイルなのだが、周辺にも未だ結構残っている。ということはこの辺りは大戦中の空襲を免れたことになるが、GHQが接収するような建造物や破壊してはいけないようなものが近くにあるように思われないからたまたまなのか、なんだか不思議でならない。
ホリエから交差点を挟んだ向かいにある看板建築。
看板部分がモルタルでやたらゴシック調の重厚な雰囲気ながら、4軒入る内の右の1軒部分だけ小豆色とツートンカラーになっているのが面白い。なにか揉め事でもあったのだろうか。
色が薄い側から見るとまた印象が異なってくる。
一本入った路地側もモルタルで覆われているが、少しだけピョコンと躯体の灰色のトタンが見えている。ここだけ妙に生活感が漂うのが看板建築らしい。
この通りを挟んだ向かいの1軒の食堂。
やけに奥行きのない建物と思いきや、トタン部分が通りに少し出ているだけで、奥行きはフツーにある住居兼商店建築のようだ。とても味のある食堂で、是非訪問してみたいが、営業しているのだろうか。今度調べてみよう。
商店街共通のデザインか、看板も鶯谷だからかウグイスがあしらわれておりシャレている。
さらにこの通りには、嘗ては歯科と棟続きだったのだろうか、戸袋の銅葺きの青緑色がシッカリ濃く残っている造りの良さそうな木造家屋がなんだか不思議なバランスで建っている。
よく見ると、右側に真新しいレンガ造りの薄い壁のようなものがくっついている。この壁の左、つまり表側が、L字に道路を曲がった先の正面の看板建築部分で、要するに建物の右サイドからみた写真となっている。家のケツと歯科の右わき腹が接近してるわけか。
再びホリエの交差点に戻り、ホリエをちょっと引いたところから見る。
隣に三角スペースに当てはめたような、複雑な形状の煎餅屋が目につく。
左のグレーのモルタルで通り沿いが覆われた部分と煎餅屋はそもそも同じ1軒の家で、入口を2つ設けて別々に機能させていると思いきや、裏に回ってみると、どうも2棟別々のようだ。
左が煎餅屋。木部が経年変化で黒くなってカッコイイが、いかにも取ってつけたようなグレーのトタンをみるに、この駐車場部分にもつながっていた家があったと思われる。
で、さらにこの駐車場の奥、煎餅屋脇の細い路地を入った所に、かなり侘び寂びの効いた喫茶店らしき物件があるが、どうも営業しているかもしれない雰囲気があった。
こちらも今度開いてそうな時間に赴いてみたい。特製カレーが気になりすぎる!
ここからさらに路地を進むと、あの長屋に。。。
ということで今回はここまで。本著ではもっと映画に則したことを書いているが、ここでは周囲の建築の紹介に留めた。興味ある方はぜひお手にとって貰いたい。またこの先の路地の物件の未掲載写真も折を見て当ブログにUPしていきたい。
【了】