暫く更新が滞ってしまったが、その間、町歩きミニコミ同人誌の新刊を作っていた。
秩父本ち表紙WEBこのところ妙にマイブームな秩父。ただの観光地かと思いきや、戦前のモダン建築が市街地に溢れていたり、妓楼街の名残から引込線跡まで、そう広くないエリアにギュッと魅力が詰まっていた。

その他、大正期より営業している食堂や、温泉めぐりも楽しめて、とても1冊でまとめきれない程。期をみて当連載でも廃鉱山散策など今後進めて行きたい。
委託先では今のところタコシェ【公式サイト】&模索舎【通販ページ】で取扱中なので(すぐ2軒ほど増える予定なので改めて告知します)、お手にとって頂ければ幸い。

というわけで、秩父市街地にある近代商店建築の中から、本に載せきれなかった物件を紹介してみたい。

秩父へのアクセスは西武鉄道の特急が出ているのでこれが便利だが、目指すエリアはその終点西武秩父駅から徒歩5分弱の秩父鉄道御花畑駅になる。
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駅から一本路地入ると、線路と並走するように商店街が伸びている。
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嘗て商店だったと思しきシャッターが降りた物件が多いのが寂しいが、この道は町のシンボル秩父神社へと続く参道のようになっており、昭和初期らしい幾何学的なシルエットがキレイな看板建築【参照サイト】が数多く残ることからも、往時の賑わいを感じさせる。
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通り沿いの1軒。通りに面した看板部分のファッザードから突き出た庇が可愛らしい。この庇の部分が建物本来の屋根部分だろう。
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横に回りこんでみるとやはり! 通りから見える部分だけ高く見せている看板建築の特徴がよく出ている。
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これは通り沿いに残るスナック。2F窓部分に本来テント看板が貼られていたようで、骨組みだけが残っている。
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どうやら営業している様子。
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階段の奥からはカラオケの歌声が漏れ聴こえていた。
これまた通り沿いの趣味の店は1Fと2Fの間をタイル貼り看板にしているのがオシャレ。
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隣のKO堂はサイディングで覆われ、往時の様子が窺えないが、看板部分から上に顔を出す躯体がなんだか蔵っぽい。
路地裏へ行ってみてもそうなのだが、この辺の商家は街道筋の宿場町のように土蔵を持っているところが多いようだ。

この先には国の有形文化財が並ぶ十字路がある。
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その一つ、小池煙草店【秩父市HP】
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奥から見ると通りに面した部分の付き出した擬似3F部分が薄っぺらいのがよく分かる。
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通用門だろうか、植木が置かれ使われていない様子。半円の扉が可愛らしくもシャレている。

この煙草店の対面がこれまた文化財に指定されたパリー食堂。
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窓の上部の紋章のような意匠とか兎に角細部が凝っている。
サンプルショーケースも健在で、良い味出している。
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窓には何やら扇の骨組みのようなものが。
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古いスプライトのステッカーもグッと来る。
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料亭といった木札があるが、いつ頃のものだろうか。
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文化財のプレートはクリックで拡大↑
こちらは絶賛営業中で、勿論頂いてきた。詳しいレポートは本に。

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パリーの裏手が路地になっており、その分岐点に小さな鳥居が。
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この路地を行くと先の趣味の店とKO堂の真裏に出る。
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手前が趣味の店で、奥の蔵っぽいシルエットがKO堂。蔵ではないようだが、どちらも窓枠が凝っていたりと和洋それぞれにモダンな要素が散りばめられた秩父市街地の町並みの美しさを象徴しているようだ。

この先、さらに路地へ路地へと進むと、嘗ての妓楼街の痕跡など随所に眩しいほどの魅力的な景色と出会うことが出来た。本にも詳しいが、それ以外に本に載せきれない程、まだまだ散策の余地が山とある。再訪、再々訪して、当ブログにUPしていきたい。いつになるか分からないが、気長にお待ちくだされ。
【一旦了】