前回告知させて頂いた、拙著ミニコミ同人誌の新刊だが、先日8/12、弊サークルにお越し頂いた方、誠にありがとうございました。
当初の予定に間に合わず手製本となったが、なんとか新刊を出すことは出来た。手作りなので再販まで暫しお時間頂きたいが(9月中を予定。出来たらこちらでも告知します)、今回の本は以前2006年に発行した『足立JCT』という本の続編的な内容となっている。絶版でもあり、記憶にない方も多いだろう。繋がりの強いエピソードはこの連載でフォローさせていただこうと思う。
というわけで、今回は川口の旧中心地、川口本町を取り上げたい。

川口市のほぼ真ん中を縦断する幹線道路に国道122号があるが、岩槻街道とも呼ばれ、歴史ある街道筋であることは、現在の車の行き交う姿からは想像できないだろう。
岩槻街道は別名御成道とも呼ばれるが、江戸期に日光詣での道として整備されたもので、特に東京都文京区の東大前辺りからさいたま市の岩槻までが岩槻街道とされる。その旧道のルートは殆ど現在の国道とカブっているが、川口に入ってスグと鳩ヶ谷~新井宿間だけは別に嘗ての街道が残っている。
その川口の入口部分は昔の宿場町、川口宿に当り、善光寺の門前町として栄えた。ここが川口の中心地だったという。その中に存在する本一商店会は、今となっては寂れた商店街にしかみえないが、看板建築や立派な蔵など、そこかしこに往時を偲ばせる名建築が現存している。
しかしここ数年のスクラップ&ビルドは甚だしく、どこにでもありそうな住宅に店舗建築が建替えられ、町並みが激変している。

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重厚な木造建築の接骨院。
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その奥の蔵部分は和食店としてリノベーションされている。
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蔵へと至る路地には煉瓦パターンが。
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接骨院の隣家と分かつのは、これまた重厚な煉瓦塀。
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元豆腐店と思しきコインランドリー。
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サビ具合が絶妙なトタン張りの理髪店。
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2Fの銅葺きが歳月を感じさせる薬局。
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その薬局には古い看板が掲げられたまま。
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商店街の出口、北端には歯抜け状態ながら看板建築が散在する。
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深い緑の銅葺きが見事な洋品店。
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その隣りの江嶋屋は1Fこそ現代風にリフォームされているが、2Fは見事な意匠の戸袋を残している。
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ある台風の翌日、その江嶋屋に足場が設けられ、網が被せられていた。遂に解体かと心配したが。46_13.jpg
なんと剥がれかけた銅板を修復していると職人さんが教えてくれた。剥がれたら危険だし、周囲はどんどんマンションに替わる中、こうなったら撤去するかと思いきや、往時の姿を維持し続けるオーナーの心意気に感服した。